天授ファーム 鈴木翼

【自己紹介】
会津磐梯山の麓、人口約3500人の大自然溢れる田舎町で生まれ育ちました。

□農家になった経緯

うちは先祖代々農家でした。でも子供の頃は、農業なんてカッコ悪い、絶対やりたくないと思っていました。
小学校の帰り道に友達と下校している時も、父親が田んぼで仕事しているのがすごく恥ずかしかった。それは小学校の授業で、百姓が蔑まれてきた歴史をずっと学んできたからでした。
親戚や地域の人たちからも「翼が農業を継ぐんだぞ!」と言われ続けて来ましたが、絶対やりたくないという気持ちは成人してからも消えることはありませんでした。
そんなとき、東日本大震災による原発事故が起きました。風評被害の影響は凄まじく、しっかりと検査を重ねた農作物でさえまともに売れない日々が続き、家計は火の車でした。
それを目の当たりにし、農業への葛藤を抱きつつも当時勤めていた会社を退職し、父親の農業を手伝い始めました。「無理に継がなくていいぞ」と父に言われ、その言葉がずっと引っ掛かっていました。
ある日蔵の掃除をしていると、畑の前に立つ若き日の父親の写真を見つけました。「あぁ、生まれたときからずっとずっと、自分は農業って仕事で育ててもらったんだな。」と今まで農業をバカにしてきた自分がすごく恥ずかしく思えました。
それをきっかけに農家として生きていこうと決心しました。今では農業という仕事に誇りとやりがいを持っています。

(↑写真) 米の種まきの休憩中♪たくさんの仲間達に支えられて農業を営んでいます。


【伝えていきたいこと・信念】

観光農園として、お客さんが直接トマト狩りに来てくれるのことも多いので、畑を清潔に保ち、衛生的な環境を維持することにつとめています。
ビニールハウス内を常に整理整頓し、トマトの樹に触れる作業をする時は使い捨てのビニール手袋を1列ごとに交換し、ハサミを用いて作業する時はトマト1本ごとにハサミを消毒しています。そうすることで病気の発生や拡散を大幅に抑えることができます。
キレイな畑を常に維持するのは労力がかかりますが、畑を見てもらうだけで安心で安全な環境でトマトが作られているということが伝わればいいなと思います。

【今後の展望・夢】

現在、地元小学校の農業講師として教室で授業をさせてもらったり、実際に畑で農業体験をしてもらったりしています。
子供の頃に自分も抱いていた「農業なんてカッコ悪い」という思いを変え、農産物を育てる楽しさや感動を伝えていければと思っています。
今後は従来のような部分的な体験ではなく、種まきから収穫まで年間を通して体験し、最終的には調理して食べたり、直売所等で子供達と一緒に販売するところまでのカリキュラムを小学校と協力して組んでいければと考えています。